睡眠時無呼吸症候群の治療法は大きく分類してCPAP療法・マウスピース・耳鼻科的咽喉手術の3種類があり、症状の重症度と合併症の有無によって、患者様に合わせた治療法を選定致します。
睡眠時に鼻マスクより空気を送り、閉鎖した気道を広げて呼吸を維持する治療法で有効性・安全性が高く、現在最も普及しています。
睡眠時に顎と舌を前進させるように工夫されたマウスピースを装着することで気道を確保し、いびきや無呼吸を軽減します。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の患者様は大きくわけて 1.扁桃やあごなどの形態異常がありこれがOSASの原因となっている方、および 2.特に形態異常がないケース、の二つに分かれます。前者の形態異常を伴うケースにおいては、扁桃が大きく(図参照)肥満がない成人に対する扁桃摘出術、および小児に対するアデノイド切除扁桃摘出術などの手術療法は有効です。全身麻酔の手術にて9日間程の入院が必要となります。
一方、後者の特別な形態異常を伴わない場合、肥満や加齢の要因が強いわけですので、手術では治癒効果に限界があります。しかしなんとか手術が救済としての道を拓いてあげなければならないと世界の耳鼻科医および歯科口腔外科医は考えています。最近では本邦でも上顎骨および下顎骨前方移動を行う顎顔面骨手術も注目されつつあるようです。
またOSAS患者様には鼻中隔彎曲症やアレルギー性鼻炎などが多く合併しています。鼻中隔弯曲矯正術や下甲介粘膜下焼灼術などの鼻閉に対する手術は一般的ですが、鼻閉は患者の鼻に関するトラブルの一部にすぎません。鼻症状には他に鼻水、くしゃみという大敵が存在します。内視鏡により後鼻神経をカットすることによる症状抑制効果は高いです。手術時間は短く、手術侵襲は小さいのですが、全身麻酔の手術にて6日間程の入院が必要となります。鼻治療によりCPAPやマウスピースがうまく使えなかった患者様が、CPAPが使えるようになるばかりでなく、OSAS重症度を下げることも繋がります。